【14】運命の分岐点

そうとなったら、過去の教訓はしっかり活かさねばなりません。さっそくその足で 買付証明を出すことにしました。早いもの勝ちです。これまで目前で何度か候補地が 他人の手に渡る経験をしてきています。

しかし、この土地、実は不動産屋さんが2件あったのです。1件は最初に案内してくれた不動産屋さん。この 不動産屋さんはいわゆる仲介です。もう1件はなんとこの土地の売主の不動産屋さん。 実はインターネットでさんざん調べているうちにたまたま、 本当に偶然に売主である不動産屋さんも見つけたのです。妻も何の気なしに、しかししっかりと その連絡先をゲットしていました。

ここで我々の頭にあったのは値引き交渉です。どちらの不動産屋さんと交渉した方が有利なのか? しかし土地の売買などしたこともないし、値引きの値幅なんてのもさっぱり分かりません。 自分たちだけで土地の売買の交渉するってのは非常に不安です。値切りすぎて相手にされなくても だめですし、かといって必要以上に出費するわけにもいきません。こっちもギリギリの線で 探しているわけですから。

色々作戦会議をした後、とりあえず仲介の方の不動産やさんに連絡することにしました。というのも 仲介業者経由で値引き交渉などをしてもらった方がうまく値段を落とすことができるのではないか、 という目論見があったからです。

で、さっそく電話してみました。しかし、担当者は不在でした。夜にならないと戻ってこないとのことです。 夜までなんて待っていられません。東京から何時間もかけてきているんです。電車に間に合わないかも しれません。今日ダメだったらまた1週間空いてしまいます。いや、1週間とはいわず、今この瞬間にも 他の人が手を付けようとしているかもしれません。

ということで、仕方なく売主の方の不動産屋さんにコンタクトを取ることにしました。とりあえず連絡を 取るだけ取っておこうと。で、ハウスメーカーにでも土地交渉について相談してからもう一度 不動産屋に来ればいいやというぐらいの感じでした。

その時はこれが実は意外な結末につながるとは思ってもみませんでした。

メモしておいた売主の不動産屋さんに電話をかけます。つながりました!とりあえず今見た物件と、 詳しい話を聞きたいということを伝えました。するとなんと、今まさにその土地を買うことを考えて いる人がいるとのこと。しかもその人には今日中に話をつける予定になっているらしいじゃないですか。 営業トークかと思ってちょっと突っ込んで聞いてみたけど、どうも本当らしい。それはまずい。

やっと申し分ない土地にたどりついたのに!またも目前で別のハンターにかすめとらてしまうんでしょうか。 しかし、こちらには戦術がありません。値引きの交渉をどう切り出して、どれくらいの値段を言えばいいのか。 とりあえず夕方までには行くとだけ伝えて、限られた時間で作戦を練ることにしました。 作戦といっても、ハウスメーカーの営業さんに電話でできる限りのアドバイスをしてもらうというだけです。 今となってはそれぐらいしかありません。

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